多言語マーケティングを進める企業では、翻訳対象の文字が常にWord文書にあるとは限りません。製品の訴求文、パッケージの説明、キャンペーンポスター、SNS用クリエイティブの多くは、Illustratorのアートボード内に配置されています。
このとき翻訳チームがよく直面するのが、.ai ファイル内のテキストを漏れなく抽出して翻訳者に渡し、翻訳後にデザイナーが一つずつ手作業で戻さずに済むようにするにはどうすればよいかという課題です。
Illustratorテキストを手作業で抽出する際の課題
従来のフローでは、デザイナーがIllustratorを開き、テキストオブジェクトを一つずつ選択して、表計算シートやWord文書へコピーすることが一般的です。一見わかりやすい方法ですが、すぐに次のような問題が起こります。
- 小さな文字を見落としやすい:パッケージ裏面の注意書き、脚注、隅の注記、アイコン横の説明などは抜けやすくなります。
- 複数アートボードを管理しにくい:数十枚のアートボードにあるテキストを手作業で番号付けしなければ、翻訳文を戻す際に対応位置を特定しにくくなります。
- コンテキストが不足する:翻訳者には文章だけが渡され、どのアートボードのどのレイアウト領域に表示される文字なのか分かりません。
- 差し戻し作業の負担が大きい:翻訳後、デザイナーは訳文をIllustratorへ一つずつ貼り戻し、位置やスタイルを確認する必要があります。
複数言語に展開するプロジェクトでは、この作業が言語ごとに繰り返されるため、ミスのリスクも高まります。
より実用的なフロー:デザインファイルの構造に沿ってテキストを抽出する
Illustratorのテキスト抽出で重要なのは、単に文字列を取り出すことではありません。テキストとデザインデータの関係を維持することが必要です。
翻訳チームで利用しやすい抽出結果には、少なくとも次の情報をできるだけ残す必要があります。
- テキストがどの
.aiファイルの、どのアートボードにあるか。 - 原文と訳文の対応関係。
- テキストオブジェクトがデザイン内のどこにあるかというコンテキスト。
- 翻訳完了後に、新しいIllustratorファイルへ書き戻せること。
これにより、翻訳者はテキストを処理し、デザイナーは翻訳済みファイル上でビジュアル校正を続けられます。
SimplifyAIで.aiファイルのテキストを翻訳する方法
SimplifyAIでは、.ai ファイルを直接アップロードできます。システムがアートボード内の翻訳可能なテキストを確認し、翻訳フローに取り込みます。
翻訳完了後は、訳文が対応するテキストオブジェクトへ可能な範囲で書き戻され、新しいIllustratorファイルとして生成されます。そのため、「原文・訳文・アートボード上の位置」を照合するための一覧表を手作業で管理する必要がなくなり、抽出漏れ、貼り忘れ、貼り間違いの削減につながります。
複数のアートボードや多言語版を含むデザインデータでは、初回の機械翻訳、社内レビュー、納品前のプレビューに特に適した方法です。
対応しやすいIllustratorファイル
このフローは、以下のようなデザインデータに適しています。
- 複数アートボードの広告クリエイティブ。
- 製品パッケージやラベル。
- イベントポスターや展示会用ビジュアル。
- 説明テキストを多く含む製品画像。
- 多言語版を迅速に作成したいブランド素材。
ファイル内の一部テキストがアウトライン化されている場合や、画像として埋め込まれている場合は、通常のテキストオブジェクトと同様には抽出できないことがあります。このようなケースに備え、編集可能な元のテキストレイヤーを残しておくことをおすすめします。
まとめ
Illustratorのテキスト翻訳で時間がかかるのは、翻訳そのものよりも、テキストの抽出とデザインへの書き戻しであることが少なくありません。
.ai のデザインデータを大量に扱っているチームは、SimplifyAIにファイルをアップロードして、まず翻訳可能なテキストをどこまで認識できるか確認できます。そのうえで、翻訳済みデザインファイルを生成するか判断してください。