AIを使えばInDesignファイルの初訳を迅速に作成できます。しかし、カタログ、製品マニュアル、年次報告書などの正式なプロジェクトでは、初訳を専門翻訳者やレビュアーが確認する必要があるのが一般的です。
課題は、翻訳者が必ずしもInDesignを使用しているとは限らないことです。多くの翻訳者はバイリンガルExcelを使い、あるいはTrados、memoQなどのCATツールで翻訳メモリ、用語ベース、レビュー工程を運用しています。こうしたチームと連携するには、オンラインでの校正機能だけでなく、原文とAI訳文をまとめてエクスポートし、慣れたツールで修正した結果をレイアウトプロジェクトへ戻せることが重要です。
ここでエクスポートするのは、翻訳者がゼロから入力する空のファイルではありません。AIによる初訳がすでに入った校正用ファイルです。AIが下訳を作成し、翻訳者は用語、文体、正確性の確認に集中できます。
なぜ翻訳者がInDesignファイルを直接修正しないのか?
InDesignはレイアウトツールであり、専門的な翻訳作業環境ではありません。翻訳者に直接.inddファイルを開いてもらうと、追加の負担が生じることがあります。
- 翻訳者がInDesignをインストールし、操作を習得する必要がある:プロジェクトに参加できる言語担当者が限られます。
- コピー&ペーストでスタイルに影響するおそれがある:太字、文字色、上付き文字などの部分書式が手作業で崩れる場合があります。
- テキストが複数のレイアウト要素に分散している:テキストフレーム、表、ヘッダー・フッター、見開きにまたがる内容を一つずつ探す作業には向きません。
- 既存の言語資産を活用しにくい:CATツール内の翻訳メモリ、用語ベース、品質チェックルールをそのまま利用できません。
より適した方法は、SimplifyAIでInDesignファイルを処理してAI初訳を作成し、そのバイリンガルデータを翻訳者へ校正用として渡すことです。
AI初訳後、どの校正方法を選べる?
SimplifyAIには、相互に補完し合う3つの修正方法があります。
- オンライン校正:プロジェクト内で原文とAI訳文を確認します。少量の内容をすばやく修正する場合に適しています。
- バイリンガルExcel:原文と訳文を表形式で扱います。CATツールを使わない翻訳者、顧客レビュー、複数人でのオフライン協業に適しています。
- XLIFF:原文、AI訳文、必要なテキストタグをTrados、memoQなどのCATツールへ取り込みます。既存の専門的なローカリゼーション工程があるチームに適しています。
これら3つの方法は、同じAI初訳の結果を扱います。違うのは翻訳者がどこで校正するかであり、最初から翻訳をやり直すことではありません。
エクスポートしたExcelやXLIFFには何が入っている?
エクスポートファイルはバイリンガル形式で提供されます。
- 校正の基準となる原文
- 直接修正できる初稿としてのAI訳文
- 修正結果を元のテキスト位置へ書き戻すための対応情報
- 太字や上付き文字などの部分書式とテキスト構造を保護するため、XLIFF内に保持される必要なテキストタグ
不要な校正作業を減らすため、エクスポート時にはコンテンツも整理されます。
- 翻訳不要の断片はエクスポートされません:数字のみの内容、単独の記号、URLなどが該当します。
- 同一セグメントは1回だけ表示されます:繰り返される見出し、ヘッダー、定型説明は統合されます。バイリンガルExcelでは使用回数も表示され、翻訳者が一度修正すれば、再インポート時に該当するすべての箇所へ反映されます。
これにより、翻訳者が確認する作業量は、レイアウトファイル内に散在するすべてのテキストを機械的に並べたものではなく、実際にレビューが必要な内容に近づきます。特定の箇所だけ別の訳にする必要がある場合も、再インポート後にオンライン校正で個別に調整できます。
完全なワークフローは?
実際の流れは、次のようにまとめられます。
- InDesignファイルをアップロードしてAI翻訳を開始する:システムが翻訳対象のコンテンツを抽出し、対象言語の初稿を生成します。
- AI翻訳の結果を確認する:オンラインで原文と訳文を確認し、全体の品質や用語の方向性をチェックできます。
- バイリンガルExcelまたはXLIFFをエクスポートする:訳文列にはAI初訳がすでに含まれているため、翻訳者が空欄から作業を始める必要はありません。
- 翻訳者が校正・修正する:一般的な協業にはExcelを使用し、翻訳メモリ、用語ベース、CATツールの品質チェックが必要な場合はTradosまたはmemoQを使用します。
- 修正済みファイルをプロジェクトへ再インポートする:修正内容が対応するテキストに適用され、同一セグメントの変更はすべての使用箇所に反映されます。
- レイアウトファイルを再生成して確認する:プレビューで文字あふれ、改行、表、右から左(RTL)組版などを確認してから、納品ファイルをダウンロードします。
このワークフローでは、AIが初訳の効率化を担い、専門翻訳者が言語品質を担保します。同時に、翻訳者が複雑なInDesignのレイアウト構造を直接操作する必要もありません。
ExcelとXLIFFはどう選ぶ?
校正担当者が主にOfficeを使用している場合や、ファイルを顧客確認に回す場合は、バイリンガルExcelが通常よりシンプルです。表を開いて訳文列を直接修正するだけでよく、専門ソフトウェアのインストールは必要ありません。
チームがすでにTrados、memoQ、または他のCATツールを使っている場合は、既存の工程を継続できるXLIFFが適しています。翻訳者は翻訳メモリ、用語ベース、一貫性チェック、レビュー状態を引き続き利用でき、作業習慣を変える必要がありません。
どちらの形式も、同じAI初訳を修正するためのものです。チームは協業相手や案件要件に応じて選択でき、最終的な書き戻しとレイアウト工程を変更する必要はありません。
どのようなプロジェクトに適している?
このワークフローは、特に次のようなケースに適しています。
- AI初訳後も専門翻訳者によるレビューが必要なInDesignプロジェクト
- Trados、memoQ、翻訳メモリ、用語ベースをすでに使用しているLSP
- AI訳文をExcelで顧客または外部翻訳者に修正してもらう必要があるチーム
- 翻訳者にInDesignのソースファイルを直接編集させたくないカタログ、マニュアル、レポート、ホワイトペーパー
- 言語修正後も文字あふれ、右から左(RTL)組版、レイアウトの見え方を確認する必要があるプロジェクト
CATツールによって、XLIFFの表示や処理の細部が異なる場合があります。修正結果を再インポートした後も、最終レイアウトはPDFプレビューまたはデザイナーによるレビューで確認することをおすすめします。特に、訳文量の増加が大きいファイル、表が多いファイル、複雑な部分書式を含むファイルでは重要です。
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まとめ
InDesignのAI翻訳は、「機械が訳文を生成した」だけで終わるものではありません。正式なプロジェクトでは、AIがまず初訳を作成し、翻訳者がオンラインエディター、バイリンガルExcel、またはCATツールで修正し、システムが確認済みの訳文を元のレイアウトへ書き戻すという流れがより実用的です。
InDesign翻訳の効率を高めながら、人による校正、翻訳メモリ、顧客確認の工程も維持したい場合は、.inddファイルをアップロードしてAI翻訳を開始し、チームの作業方法に合わせてExcelまたはXLIFFで修正できます。