カタログ、製品マニュアル、雑誌などを多言語展開する際、AIを使えばInDesignファイルの翻訳初稿を短時間で作成できます。しかし、正式な納品前には、翻訳者・顧客・マーケティングチームによる確認や修正が必要になるケースが一般的です。
課題は、校正に参加するすべての人がInDesignを使えるわけではないことです。デザイナーがINDD内の原文とAI訳を手作業でExcelへコピーし、修正後に一つずつ貼り戻す方法では、時間がかかるうえ、書式の消失、貼り漏れ・貼り間違い、バージョンの混乱も起こりやすくなります。
この記事では、SimplifyAIでAI翻訳の初稿を作成した後、原文と訳文を含む対訳Excelを出力して翻訳者や顧客に校正を依頼し、修正結果をレイアウトプロジェクトへ戻す流れを紹介します。
手作業でのコピー&ペーストにある課題
海外展開を始めたばかりの企業や小規模な翻訳会社では、今もInDesignファイルを手作業で処理していることがあります。
- 作業時間が長い:50ページの製品カタログでは、テキストのコピー・抽出だけで数時間かかることがあります。
- 書式が失われやすい:たとえば段落内の一部の単語が太字や赤字になっていても、Excelへコピー&ペーストすると、こうしたリッチテキストの情報が失われます。InDesignへ戻す際、デザイナーは目視でスタイルを設定し直す必要があります。
- 翻訳漏れが起きやすい:マスターページ、複雑な表、埋め込みグラフィック内の文字は見落とされやすい箇所です。
解決策:AI翻訳の初稿を対訳校正用Excelとして出力する
対訳Excelは、空の翻訳テンプレートではありません。AI訳を初稿として入れた状態で出力するため、校正者は訳文列を直接編集できます。同時に、テキストと元のレイアウト上の位置との対応関係も保持されます。
ステップ1:InDesignファイルをアップロードしてAI翻訳を実行
.indd ファイルをSimplifyAIのワークスペースにアップロードし、対象言語を選んで翻訳を開始します。初稿の生成後は、オンラインで原文と訳文を確認し、全体的な品質や用語の方向性を確認できます。
ステップ2:対訳Excelを出力
翻訳結果画面から対訳Excelをダウンロードします。表には原文、AI訳、必要な対応情報が含まれており、訳文列にはすでに初稿が入力されています。翻訳者が空欄から作業を始める必要はありません。
不要な作業を減らすため、数字のみの項目、単独の記号、URLなど、明らかに翻訳不要な断片は出力されません。重複する文節は1回だけ表示され、Reuse 列で使用回数が示されます。
ステップ3:翻訳者または顧客が訳文列を修正
校正者はTranslation列を直接編集し、用語、文体、数値や単位、表現の正確さを確認します。原文や位置との対応に使うSource、IDなどの列は、削除や列名変更をしないでください。
ステップ4:修正結果をインポートして再生成
修正済みのExcelを元のプロジェクトへインポートします。システムは現在の訳文から変更された内容のみを適用します。同じ箇所がオンライン上ですでに修正されている場合は、オンラインのバージョンがデフォルトで保持されます。修正内容を確認したらレイアウトファイルを再生成し、プレビューで版面を確認します。
応用:自動レイアウト調整(文字あふれ対策)
言語による文字量の違いにより、たとえば英語からドイツ語やロシア語へ翻訳する場合は、文字量が30%以上増えることがあります。そのため、InDesignへ戻した際に文字あふれ(Text Overset、いわゆる赤い警告表示)が発生しがちです。
SimplifyAIはファイル再生成時に自動レイアウト調整を行います。テキストが元のテキストフレームに収まらない場合、字間、行間、文字サイズを微調整し、文字あふれをできるだけ抑えます。これにより、印刷前のデザイナーによる修正作業を減らせます。
まとめ
社内のマーケティングチームでも、専門のローカリゼーションサービスプロバイダー(LSP)でも、「AI翻訳初稿+対訳Excelでの校正+自動反映」というワークフローを使うことで、コピー&ペーストや手作業での貼り戻しに伴う時間とミスのリスクを抑えられます。
すでにTrados、memoQ、または翻訳メモリを利用しているチームは、ExcelとXLIFFの校正ワークフローの選び方もご確認ください。
SimplifyAIのワークスペースでInDesignファイルをアップロードし、まずAI翻訳を実行してから、対訳Excelを翻訳者や顧客へ渡して校正を依頼できます。