数十ページにわたる契約書やマニュアルを英語から日本語へ翻訳すると、本文は日本語になっているのに、フッターで問題に気づくことがあります。英語原稿では Page 1 of 36、Page 2 of 36、Page 3 of 36 と変わるはずの表示が、翻訳後は全ページで同じ Page 1 of 36 のままになる。あるいは、数字は動くのに文言が英語のまま残る。日本語なら 3ページ/全36ページ、あるいは 全36ページ中3ページ目 になるはずです。
これは本文中の脚注番号とは別の問題です(脚注についてはWord翻訳で脚注・文末脚注の番号や参照がずれる・消える原因と対策をご覧ください)。ここで扱うのは、ページ下部にあり、ページ送りに応じて変わるページ番号です。
ページ番号は入力された数字ではない
Word では、「3ページ」の「3」は通常、作成者が直接打った数字ではありません。再計算されるフィールドで、現在のページは PAGE、総ページ数は NUMPAGES です。Word がフィールドを更新するとき、たとえば一部のページ再計算や印刷時に、実際のページ順で数字を埋めます。
一般的な翻訳ツールが見ているのは、前回保存時のキャッシュ文字列、つまりただの「3」です。そこで Page 3 of 36 を一文として翻訳し、Page 3 of 36 を普通の文字として書き戻してしまいます。フィールドは消え、数字は固定されます。36ページすべてに同じ番号が出る状態は、フッターを未訳のまま残すより目立ちます。
もう一つ見落とされやすい点があります。Word のページ番号ギャラリーには、数字をフッター段落ではなく、浮動図形内のテキストボックスに配置するデザインもあります。この場合、フッター段落はほぼ空です。通常の段落だけを読むツールは「フッターに文字がない」と判断し、フッター全体を翻訳対象から外します。
保護すべきなのは計算であり、フッター全体ではない
フッター内のすべてが「触ってはいけないフィールド」ではありません。PAGE や NUMPAGES のように自動更新される部分は維持する必要があります。同じフッターにある HYPERLINK の表示テキスト(「表紙に戻る」「会社サイト」など)は作成者が書いた文言なので、通常どおり翻訳します。フッター全体を保護対象にすると、リンク文字が静かに未訳のまま残ります。
SimplifyAI では、このようなフッターを処理する際に、主に次の3点を行います。
- 再計算される部分だけを保護し、周囲の “Page” や “of” などの文言は翻訳します。語順は翻訳先に合わせます。英語の
Page 3 of 36は、日本語では3ページ/全36ページや全36ページ中3ページ目になり、数字自体は動的なフィールドのままです。 - フッター段落とテキストボックスの両方を対象にします。 Word が読む比較的新しいテキストボックス形式と、WPS や一部の古いビューアーが読む代替図形の両方に訳文を書き込みます。「Word では正しいが、別の環境では空白」を避けます。
- 数字が欠けても、文章をページ番号に埋め込みません。 モデルがページ番号の位置を見落とした場合でも、文章は残し、ページ番号は空欄にします。不整合は校閲用に記録します。訳文全体をフィールドの結果として保存された表示値へ入れることはありません。それが「36ページすべて同じ番号」になる主な原因です。
Word でファイルを開いたあと、ページ番号は Word 自身がページに応じて再計算します。SimplifyAI が Word のフィールド更新を代行するわけではありません。
できること・できないこと
自動で処理できるのは、ヘッダー・フッター内のページ番号フィールドの識別、周辺テキストの翻訳、翻訳先の語順に合わせたフィールドの再配置、テキストボックス内のページ番号の処理です。
フッターに会社住所、機密区分、文書番号などが含まれる場合は、表現や用語を人が確認することをおすすめします。「目次はローマ数字、本文は1から」といったセクション設定は、翻訳では変更しません。
現時点で行わないこともあります。目次項目の横にあるページ番号は別の PAGEREF であり、更新指定のあるファイルを開くときなど、Word がフィールドを更新する際に再計算します(Word目次が翻訳されない原因と対処法をご覧ください)。PDF 上でフッターのように見える繰り返しテキストを、本来の Word フッターへ変換することもできません。
向いている文書
会社テンプレートでフッター文言は固定しつつ、ページ数に応じて数字だけ変えたい契約書。翻訳後に行間を調整し、総ページ数が変わるマニュアル。WPS や Web プレビューだけで開く同僚へ渡す文書。こうした利用者は F9 でフィールドを更新しない、あるいは更新できないことが少なくありません。
まとめ
長文書の翻訳では、本文以外に問題が現れがちです。ページ番号付きフッターのある Word を SimplifyAI で翻訳し、完了後に文書の各ページを確認して、数字がページごとに正しく変わるか確かめてください。